2013年3月12日火曜日

ウランバートル郊外



 午後より、我々のプロジェクトに参加して野菜を栽培しているSさんとともに、その畑を見に行く。バヤンズルフ区役所から3,4kmも東に行くと、ゲル集落の屋並みも途切れ、オープンスペースがみえてくる。ウランバートル市街の東端といえる。ここは南北に走る幅1kmほどの浅い河谷で、今は凍った網状の流路がみられる。平坦で沖積地でもあるため、農地には向いていると思われる。一方で、増水による被害も想定されるような環境である。久しぶりに訪ねたというSさんは、ずいぶんと板塀が増えたという。板塀だけではなく、木のくいを打ったり、タイヤを埋めて、いわば囲い込んでいる箇所がここそこにみられる。Sさんは、栽培をしようとして土地を入手したとのことであるが、「所有」しているわけではないらしい。複雑でよくわからない土地の権利状況の中で、どうもそれぞれが陣取り合戦よろしく、勝手に土地を占拠しているらしい。ゲル地区の拡張ともいえるし、ここが農地として利用されるのであれば、近郊農業地帯の形成ともいえる。
 Sさんの畑は、この谷をさらに北へ4,5km行ったところにあった。その先に父の放牧地があり、父が車でそこへ出かけるときに父の車でここまで乗せてきてもらい作業をしていたという。彼女の畑というその区画は、どこからどこまでが彼女のものなのかよくわからない。確かに黒土で地味はよさそうである。小川から水を引いてくるとのことであるが、冠水の危険もあろう。北からの寒風に、早々に退散する。帰途、同じ河谷で、ゲル2棟と畑を目にし、立ち寄る。200x1数十mほどの有刺鉄線が張り巡らされた区画の中に、ビニルハウス4棟と給水タンク、ここそこに耕作跡地があった。ネギ、エンドウ豆、インゲン豆などが栽培されていたようである。現在は、ゲルに住む管理人家族しかいない。所有者は、農業大学出身で大学で語学を教えていた人とのことであるが、詳細はわからない。農業大学のB先生も郊外に土地を所有しているが、富裕層、あるいは情報や特権にアクセスできる層が、投機目的もあって、土地を獲得し、農場を開設する傾向にあるのかもしれない。投機が主なのか、農園経営が主なのか、いずれにせよ、興味深い動向である。
囲い込みの進むUB東郊。向こうはUB市街地


流域につくられた耕作地


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