2011年12月15日木曜日

セガンティーニ

T大での講義後、新宿、東郷青児美術館のセガンティーニ展。20年前の夏、車でアルプスの山中を回っていた際に、サン・モリッツに立ち寄った。そこでたまたま見つけたセガンティーニ美術館、いってみたはよかったが、改修とかで休館中であった。そこを親切な館員が、不憫に思ったか、なんと館の中へ、かの三部作「生」「自然」「死」の展示室に連れて行ってくれたのである。贅沢にも、他に観覧者がいない中、しばらくこれらの作品に見入っていた、、、。とはいえ、美術館に収蔵されている他の作品はみておらず、その後もミュンヘンのノイエ・ピナコテークにある「耕作」など断片的には観る機会はあったが、今回のように多くの作品を一度に観るのははじめてである。
 初期の古典主義的な作品から象徴主義に至るまで、セガンティーニ美術館収蔵品を中心にそれなりの数がきていた。うまいなー、というのが印象である。アルプスの空気感が伝わってくる色彩と分割表現に加えて、奥行きひいてはアルプスの雄大さを感じさせる構図の取り方がすばらしい。彼の採る技法、分割主義で日本の風景を描いたらと、ふと思う。光が峻烈に襲ってくるアルプスの乾いた透明な空気を描くのに適しているかもしれないが、湿潤な大気の中を通る光、おぼろげで境もぼやける日本の風景を表現するにはどうであろう。逆に、アルプスの光が、セガンティーニをしてかの表現をとらせたのかもしれないが、、、

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