2014年4月1日火曜日

赴任、そして、お葬式

 この4月より新しい職場に異動することとなった。さいたま市のS大学から川崎市のS大学へである。どうして異動することになったのか、、、3月に何度も開いてもらった送別会などで語り尽くしたので今さら感がある。
今日は赴任の会とガイダンス。国立と私立では雰囲気がずいぶんと異なる。のんびり、まったりやってきた身にとって、予想はしていったことではあるが、適応できるか少々不安ではある。期限までに書類をきっちり提出できるかどうか、ということではあるのだが。
ガイダンスを中途で抜けて、一旦、帰宅の途につく。大学時代の恩師S先生が急死され、その葬式の前夜祭に出席するためである。帰宅後、車にて土浦の会場となる教会に向かう。土浦には少し早めについたので、市中心部に入ってみる。というのも、学部3年次に1年間、土浦に住んでいたことがある。亀城公園近くの某医院の下宿で、面白い経験をした。それはそれとして、土浦の街もずいぶんと変わってしまった、、、
学部3年の時にS先生が赴任され、以降、直接の指導教員ではなかったが、ずいぶんとお世話になった。当時、ブナ帯文化の調査をされており、阿武隈や奥日光、秋山郷、山形など、様々なフィールドに連れて行ってもらう機会を得た。
大の温泉好きで、温泉でなければ泊まる意味がないと、必ず温泉宿に宿泊した。掛け流しの湯槽の脇で寝そべって、たらいで大きな体にお湯をかけていた姿を思い浮かべる(そして、温泉の風呂場の配置を必ずノートに記録されていた)。あれは温海温泉だったか、玄関で打ち水をしているのをみて、ここがよい、交渉してこい、と値切りにいかされた。人と酒を飲みながらの聞き取り、、、お酒を飲んでいてもその日のうちにフィールド・ノートのデータを整理してしまう先生、、、
徒弟制度の下で、見よう見まねで、親方の仕事ぶりをみながら仕事を覚えていく。学問もそんな面があるかもしれない。その意味で、S先生は私の親方であった。親方の恩に報いていない、できの悪い弟子で申し訳ないとも思う。先生より教わった地理学のおもしろさ、楽しさを学生らに伝えていくこと、そしてまた、いわば職人芸といえる先生の調査の手法、それを誰もが使えるかたちで定式化、マニュアル化すること、それが残されたものの使命であろう。合掌。